第230球「我々のレベル」(2005.11.10)

 このコラムでも何度も書いているが、俺は「野球小僧」のヘビーな読者である。この雑誌は非常にマニアックな野球情報満載なのであるが、テクニック的なこと、戦術的なこと、トレーニング的なことを勘案した時に、どのカテゴリーを特集しているかによって熟読度は異なってくる。悲しいかな、草野球特集というのは(過去にあったかもしれないが)未だお目にかかったことがないので、少しでも役立つ情報があれば・・・という思いで探してみたのだ。

 で、その結論は、ズバリ「中学野球特集」である。それも硬式野球(いわゆるシニアリーグ・ポニーリーグなど)ではなく、普通の中学校の軟式野球部がターゲットだ。そこを率いている監督さんのインタビューなどを見ていると、我々の目指す野球と被ってくるところが非常に多い。バントの方法、牽制の方法、打撃論、守備論・・・。実に奥深い。彼らの共通の思いは「少しでも長く野球を続けてほしい」というもの。これまた草野球に非常にマッチしている。

 中学野球と侮るなかれ。本格的な野球の入り口に立っている、もしくは一旦野球をやりつくし、もう一度原点に立ち返って取り組もうとしているのは、まさに中学生の彼らと同じシチュエーションなのだ。極論すれば我々のレベルは「体力の無くなりつつある中学生球児」なのだ(「体力のなくなりつつある」が実はミソなのだが)。

 大事なのは、今の我々のレベルを冷静に見て、そこから一歩踏み出そうという意識を持つこと。頭の中ではアタリマエのプレーでも、それを実際にやる場合、体力の低下を言い訳にするのではなく、きちっとした技術を今一度身につけましょう、と意識することだ。それが長く野球を楽しむ大きな武器になるはずだ。

 我々は非常にシンプルなところからもう一度野球と向き合うことが必要だ。野球というスポーツを勉強して、それをグラウンドで実践して、小さな喜びとこれからも野球を続ける小さな自信を積み重ねていこう。ということで、今年のオフは中学生野球を研究します。それが我々の今のレベルにマッチした強化理論なのかもしれない。