第225球「数字」(2005.9.16)

 野球の結果は簡単に数字に表すことができる。打者で言えば打率・打点・出塁率などが代表的だし、投手にしてみれば勝ち星、防御率、奪三振などがそれに当たるだろう。チーム全体で言えばやはり勝利数、タイトル数などがある。繰り返すが簡単に数字で図ることができてしまうのである。

 言ってみれば、数字を意識してプレーするのは意外と簡単なのではなかろうか。「あと一本打てば3割に乗る」「5タコで打率が下がる」。前者は何とか安打を放とうとするし、後者は何とか率を維持しようとする。それが安打という結果に繋がる。短期スパンとしては充分なモチベーションになるのであろう。やっぱり数字上がると気持ちいいし(笑)。

 ただ、野球というのはそんなに底の浅いスポーツではない、と俺は思っている。数字では図れない状況状況に応じたプレー、そしてそのプレーを積み重ねることによる「結果」。これを自分の中で意識して取り組むことで、また違うモチベーションの高揚感はある。「ここでセカンドゴロを打ちたい」「ここでは絶対打ち上げてはいけない」「ここは送りバントを決めたい」。結果凡退したとしても、その最低限の目標をクリアしていくことで、得点に一歩一歩近づいていく、という感覚。チャンスを広げて繋げる感覚。そのお膳立てをしてもらったことに対する高揚感。その一つ一つにモチベーションが積み重なっていく。

 この感覚を感じることができるようになったのは実は数年前のことだ。しかも絶不調に喘いでいた頃に、ふとそういうことに気付いて一気に野球が楽しくなった記憶がある。得てしてそうなると自分の打撃の調子も上がってくるものなのだが(笑)。

 結果を残せずに苦労している選手は山ほどいると思う。まずは自分が安打を放つということよりも、最低限何をすればチームに貢献できるのか、それを一つ一つクリアしていくことが必要なのではないか。累計すれば数字は出てしまうけど、こと、一打席一打席ではそういう過去の積み重ねは意味は無く、その打席のみで結果は出てくるのだから。そうやって気持ち切り替えて魂入れて打席に入ろう。そして小さな満足感を積み重ねよう。

 まぁ現時点で打率2割ソコソコの俺が言うのも何なんですけどね(笑)。