第207球「忍忍忍」(2005.4.11)

 どのチームも理想というべき試合運びがある。それはチームカラーによってまちまちだろう。初回から打線爆発で大量リード、というところもあれば、投手を中心にして少ない得点を守りきるカラーのチームもあるだろう。TWINSで言うと、間違いなく後者の試合運びが理想的な展開となる。そんなに打てるチームではないし、そうやって今まで勝ってきたわけだし。

 ただし、いざ試合が始まったとして、そうは思惑通りの試合展開に持ち込めないことだって多々ある。投手陣の不調や、打線が更に沈黙したり、など試合中における不確定要素はてんこ盛りだ。そういう試合は得てしてストレスの溜まるじりじりした試合となることが多い。そんな時に問われるのが、チームとして我慢する力、メンタル面をコントロールする力、そしてそれでも勝とうとする力。それをかいつまんで表現して(これが正しいかどうかわからないが)今回の表題「忍忍忍」(「にんにんにん」とでも、「忍の三乗」とでも読んでいただいて結構)だ。

 思惑通りの試合にならない時は、チーム全員で我慢することがすべてだ。それこそ野手も投手もベンチも全員だ。どこかでその我慢の糸が解れる時、それがチームという堤防を決壊させる大きな要因になる。そこをどう食い止めるか、相手より我慢を効かせるか、解れた緊張の糸をもう一度紡ぎ直すか、それが勝ち抜く一つの大きな力になる、と思う。しんどい試合だったけど、その試合で勝ち星を「拾う」ことに繋がるのではないだろうか。もちろん思惑通りの試合にしていくことも大切ではあるし、理想は高く掲げるべきでは有ると思うのは言うまでも無い。

 逆にそういう試合を仮に「落とした」場合、例えようもない虚無感、疲労感に襲われる。力の差を見せ付けられての完敗を喫する以上にダメージを受けるような気がしてならない。実際TWINSも何度もそういう敗戦を喫してきた。そのダメージを共有し、そのダメージを癒し、乗り越えることでここまで続けてきた、と言っても過言ではない。「忍忍忍」それはTWINSの歴史そのものなのである。個人的にもそういう試合はいつまでたっても忘れないものなのだ。だからこそ、高い目標、理想の試合展開を掲げて、それを目指したくなるのだ。次に行われる試合をTWINSのベストゲームにすべく、また「忍忍忍」で取り組んでいきたい、と思う。