第205球「チェックポイント」(2005.3.29)

 開幕二試合を終えたあるオフの日、俺は地元のバッティングセンタに車を走らせていた。どうもスイングが良くない。納得いくバッティングが出来ていない。思い起こせば試合前のトスバッティングから感触が良くない・・・。そんな思いから時間を作った次第だ。

 自分の打撃がよくないな、と思った時、それを修正するために必要なのは、自分の打撃フォームなり打球なりを客観的に見ていくことだ。逆方向に流すつもりが、引っ張った打撃になっていたり、引っ張るつもりがドン詰まりの打球になったり、ゴロを転がすはずがフライになったり、逆にフライを打つつもりがゴロになったり。そういう現状を直視することから、自分のチェックは始まる。そして、「・・・!」とある点に気付くことが有る。それを修正することで、また鋭い思い通りの打球を飛ばせるようになる。「客観的」「現実を直視」これがこの作業のキーワードなのだ。

 面白いのは思いもよらぬ点に気付いたりすることだ。今回俺は打つ時に体が開き、突っ込み気味になることを治そうと考えていた。それを意識していても一向に打球は良くならない。そのうち左手にマメができてしまった。普段は出来るはずのない場所にマメが。逆に言うと左腕が勝ってしまっている、ということ。そしてバットが外側から出てしまっている、ということ。この二点に気付いた。だから俺は右手のリードを意識しつつ、左肘を締めてコンパクトなスイングに変えてみると・・・・。

 打球は快音を残してネットに吸い込まれていった。よしよし、修正点が見えてきた。後はそのスイングを意識して回数をこなしていけばいい。ここは誰もいないバッティングセンタ。じっくりみっちり練習ができる・・・。こうやって俺は何度不調を脱出してきただろうか。打撃不振を取り返すには結局、その糸口を自分自身で見つけなければならないのだ。ごくごく小さな綻びがスイング全体を蝕んでいるケースが多いので、こういうこまごまとしたチェックが非常に有効になってくる。正直あんまりこういうことをやるくらい不調にはなりたくないのだが・・・。また今年もお世話になるんだろうな、と思う。