第201球「サービスって何だ」(2005.2.28)

 プロ野球キャンプが花盛りである。今年はどのチームも「ファンサービス」を強調して、あちこちで様々な取り組みを行っている。サイン会を開いたり、テレビ電話で会話したり、食事会やってみたり、挙句の果てには丸刈りの頭触らせたり(笑)。またそれに群がるようにファンとやらが、大挙してキャンプ地に押し寄せているとかいないとか。

 ちょっと待って欲しい。「サービス」というのはそもそも無償のものではなく、有償のものではないのだろうか。「財」と「サービス」が動いてこそ「サービス」は「サービス」として成立するものであり、現在行われているファンサービスを受ける人々は、それに見合う「財」(お金なんだろうか、よくわからないのだが)を支払っているのだろうか。プロ野球のサービスはそういうもんじゃあないだろう、って思うのは俺だけなのだろうか。

 野球のみならず、「プロ」の選手達はその卓越した技量を魅せることが「サービス」なのであり、決して練習を見せたり、その合間にファンの相手をすることが「サービス」なのではない、と俺は思うのだ。サイン描くヒマがあったら、バット振れよ。そんな時間があったら自分の体ケアしろよ。それで怪我したら元も子もないじゃないか。俺はそう思う。つまり、プロの選手達が提供すべき「サービス」の向け先は、キャンプの観客ではなく、公式戦に足を運ぶ観客や、テレビ中継を見る観客に向けられるべきではないのだろうか。

 練習はあくまで練習であり、決して見世物ではない。逆にヴェールに包まれているくらいのほうが、俺からしてみれば想像力を掻き立てられる。140kmの球を投げることがどれだけ大変で、それをスタンドに叩き込むことがどれだけ凄いかよくわかっているからこそ、今の安直なサービスもどきに、違和感を覚えるのだ。サインを求めて群がっている連中が実際にどれだけ球場に足を運んでくれるのかねぇ。

 「さすがプロだな」と唸らせるようなプレーや勝負、想像力掻き立てられるペナントレースを切に希望したいと思っております。