第188球「打撃深化」(2004.11.16)

 今年は何故か打撃好調であった。とはいえ、それなりの理由は必ず存在するのだが。一つは打撃フォームを微妙ではあるが変えたことが挙げられる。そんな大げさなものではない。クローズドスタンス気味に構えていたのを、スクエアースタンスにしただけだ。元々調子が悪くなると体が開く悪癖が出るので、開かないように構えていたのだが、ある文献を読んでそれを改めた。「球は両の目で捉えよ」という一言だ。

 目が悪いのに、コンタクトレンズが嫌い、というわがままな俺は、野球中もメガネを外すことはない。クローズドスタンスに構えると、投手の球がメガネのフレームの外から飛び込んでくるように映り、どうしても対応が遅れることに気付いたのだ。そして、スクエアーに構えて顔をきっちり投手に向けることで、球がよく見えるようになった。これは自分の中の一つの深化である。視界良好、とはまさにこのことだ(?)。

 打撃はとにかく微妙なもので、これが一歩間違うと体が開く悪癖が再び顔を出すことになり、不調のどん底へ落ちてしまうことにもなるのだが、今年はこれでやってこれた。よくぞこの文献を読んだな、と今更ながら自分を褒めてあげたい(?)。ちなみにこの文献は何てことはない、週刊ベースボール誌の落合博満の連載です。

 「なるほど」と思ったことを「試す」場は練習しかない。より実践に近い環境で練習すればするほど、実は「試す」場というのは狭くなっていく。実際最も実践に遠いと思われるバッティングセンタでの打ち込みで、俺はフォームを固めていった。そして今年の打撃フォームに手ごたえを感じていった・・・。練習は単調で苦しいことも多いのだが、この感覚が一つの快感なのだ、と思う。

 新しい技術を会得するのは「進化」であるならば、今までの知識や技術を焼きなおし、見つめなおすことで、新しい自分の形を造るのは「深化」であると言える。言葉遊びっぽい感じがしなくもないが、実際のプロセスは全く違う。今年は「深化」を選んでたまたまうまく行った。来期を見据えて今オフはどちらの「深化(進化)」をチョイスしようか・・・。