第187球「チップとカット」(2004.11.8)

 神宮外苑のバッティングセンタで打ち込みをしていた時のことだ。このセンタの設備は非常に整っていて、モニターに投手のフォームが映し出されて、それと同時に球が飛んでくる仕組みとなっており。より実践に近い状態で練習ができるスグレモノだ。速球ばかり打っていても飽きるので、設定を変えて、変化球を混ぜて打つことにした。

 機械で造られた変化球のキレは尋常ではなく、とてもキッチリ捕まえられそうもないものが多い。モニターではヤクルトの藤井が不敵な笑みを浮かべている(ように見える)。何とか喰らい付くべく集中する俺なのであった。わかっていても変化球の後の速球には詰まる。速球の後の変化球には体勢を崩される。これがコンビネーションの妙だ。それでも何とかバットには当てることができる回数は増えていった。でも、快打は最後まで聞くことができずに終了することとなった。その時に一つ気付いたことがある。

 それは表題にあるとおり、「カット」と「チップ」は明確に違うんだ、ということ。カットは文字通り「打てない」球をカットすることで、次のチャンスを伺う高等技法だ。チップは「打てる!」と思った球を打ち損じるケースを示していると思う。打席で追い込まれてファールを打つと、ベンチから「ナイスカット!!」と応援してくれることも多いが、実は本当に「カット」したケースは非常に少ないのかもしれない。単にチップしただけのケースがほとんどなのかもしれない。自在にカットできるようになれば、それはそれで大きな戦術になるんだろうと思う。

 それでも、全てはスイングすることから始まるので、見逃し三振するよりはよっぽどマシだ。チップでも飛んでいった場所によっては立派な(?)ヒットになることもままあるわけだし。

 変化球を攻略するためには、変化球そのものをジャストミートするよりも、こうやってカットするなり、せめてチップするなり喰らい付くことがもっとも大事だ。俺の地元のバッティングセンタでは速球しかないので、神宮に立ち寄った時には積極的に変化球に喰らい付く練習を積んでいきたい。