第185球「帽子の庇」(2004.10.25)

 何回も洗ってしまったので、だいぶ色あせてしまった俺の帽子だが、入団以来ずっと同じ帽子を使い続けている。いまや手に入らない(んだっけ?)正統派メジャー仕込みのTWINSキャップだ。

 さすがに頑丈なつくりをしているらしく、ほとんど型崩れもしない良品なのだが、一箇所だけ、俺の帽子には傷がある。それは庇(ひさし)の左側。ここだけ、わずかではあるが、解(ほつ)れた箇所がある。何でなんだろう?と考えていたのだが、このたび一つの結論を導くことに成功した(笑)。

 クセのようなものなのだが、俺は緊張する時に帽子をぐっとかぶりなおす。それもなぜか左手でぐっとかぶりなおす。そのクセを続けているうちに、俺の帽子はその部分だけが傷んできてしまっていたのだ。つまりこの解れは、いかにTWINSが緊迫した場面に遭遇しているか、の証なのである。

 近年安全の観点から攻撃時には必ずヘルメットを着用しているため、俺が帽子をかぶりなおすのは、守備の時のみとなっている。それでも、一つ一つの痺れる場面が、一つ一つのプレーが俺の帽子の庇を少しずつ傷つけ続けているのだ。「身を削る」ような場面が多い割には、なかなか体重が減らない俺ではあるが、視点を変えてみると、なるほどこういうところから、「身を削って」いることが見えてくる。

 とはいえ、これは自ら望んでいる部分でもある。やはり公式戦の緊迫した場面を醸し出せる雰囲気作りは、TWINSの根幹に関わる部分と考えている。諸兄もこの部分は一致していると思っている。所詮草野球ではあるものの、運動不足解消や、ストレス発散の目的も当然あるかもしれないけど、それだけでは飽き足らず入団したのがTWINSなのだから。そしてそういう野球を一緒にやり続けていきたいメンバーを誘って、今のチームを作り上げたわけなのだから。

 この帽子、俺がプレッシャーに押しつぶされるその日までかぶり続けていきたい。