第181球「ダッシュダッシュダッシュ」(2004.9.21)

 その痛みは不意に襲ってきた。右足太もも裏に電気が走った。初回先頭打者の俺は出塁して、次打者の内野ゴロの間に二進したのであるが、その時にどうも痛めてしまったらしいのだ。その試合はいいところで俺に打順が回ってきたにもかかわらず、凡退を繰り返し、活躍をすることはできなかった。最高の勝負どころが何回もあったにも関わらず・・・だ。

 それはTWINSの試合ではなく、俺が参加している別のチームの試合での一コマだった。このチームは試合前のアップは自己管理に任されている。思い起こすと、ランニングしたなぁ、体操したなぁ、ストレッチしたなぁ、キャッチボールしたなぁ・・・あ、ダッシュしてねえや、と気付いた。

 ダッシュは結構しんどい。ぶっちゃけしんどい。だが、体を最後に目覚めさせるトドメの一撃になるのは、まさにこのしんどいダッシュだ。これをやらないのとやるのでは、試合への入り方がまるで違う、ということを不覚にも痛感したのであった。それに気付いた時、なんとも言えない申し訳なさを感じることとなったのだ。結局試合には(ジャンケンで)勝ったものの、俺の気持ちは晴れない。

 ベストプレーをするには、可能な限りの準備と、可能な限りのケアが必要だ。24時間野球に打ち込めるわけではないから、どこかで割り切る必要があるが、基本はそうだ、と思っている。実際試合の前日は早めに帰ろう、と思ったり、コンディションを整えようとか思ったりそれだけでも確かにずいぶん違うものだし。若いころは勢いで通じていたものがもはやそういうことはできなかったり・・・。やはり、できることはやって試合に臨まないと、その試合に充分な満足は得られない。たとえ勝利の美酒に酔ったとしても・・・だ。逆に勝利の美酒に酔いつつも、そういうことを省みることができるようになれば、俺も本物の野球人かもしれないな。

 ということで、細かいことではあるけれども、きちんとダッシュして体目覚めさせてから試合には取り組むようにしていきたい。もちろんTWINSのアップメニューからダッシュを消すことはあり得ない。すっと試合に入れるのは、そういうことを面倒くさがらずにやっていることも大きな要因の一つなのだ。いいことに気付かせてくれた。