第177球「大魔神」(2004.8.12)

 大魔神が引退宣言をしただの、しないだの、昨今のスポーツ新聞各紙面をにぎわせている。まぁ個人的には大して興味ある選手ではないので、どうでもいいといえばどうでもいいのだが、今までの活躍が華やか過ぎるだけに、非常に寂しいなぁ、というのが正直な感想だ。

 俺は、今回の記事を見て、ある選手の引き際を思い出した。それは“怪物”江川卓だ。江川が投げた渾身のストレートを小早川が弾き返したことで、江川が引退を決意したシーンを目の当たりにしている俺からすれば、大魔神が三者連続本塁打を打たれたシーンは、そこまでの悲壮感は伝わってこなかった。少なくとも江川は、マウンドにしゃがみこみ、打球が吸い込まれたライトスタンドをじっと見つめていた。小首をかしげるお馴染みの姿ではなく。

 記事なのでどこまで真意なのかはわからない。ただ、家族のために辞めるんだの、自信がなくなっただの、そんなことは年間5億もらっているプロ野球選手が吐くセリフではない。それはプロ野球ファンもさることながら、プロ野球選手に対しても失礼な発言だと思う。引き際は自分で決めなければならない。しかし、その引き際は自分だけの都合では決められないのだ。ペナントを戦っているチーム、そして応援してくれるファンの存在、日頃バックアップしている関係者・・・。

 ちょっと打たれたくらいで、弱音吐いているなら、しょっちゅう負けている俺達はどうなるんだ。でも、その負け試合から、何かを見つけて、さらに次に繋げていく営みをずっと続けている俺達はどうなるんだ。なんて一草野球人として憤ってしまった。大魔神なんだから、そんな簡単にあきらめるなよな~。

 最後の最後まで戦って、壮絶に散ってほしい。出きれば俺は大魔神には、そこまで戦ってほしいと思うのだ。そして、その姿を我々野球ファンは瞼に焼き付けようではありませんか。その相手は清原和博なのではないかなぁ・・・と思う。早く清原帰ってきて欲しいな。