第173球「カットマンの陰鬱」(2004.7.6)

 カットプレーはまさしくビッグプレーだ。本塁なり三塁で走者を刺す、ということは一点を防いだ、という事実以上にチームに勢いと流れを呼び込むことができる。逆に、「刺せる!」と思ったのも束の間、うまく中継が繋がらなかった場合は、やらずもがなの一点を与えてしまうことになり、意気消沈・・・なんてことも多い。

 TWINSには、外野からの送球は必ずカットマンまで、という約束がある。厳密に言えばカットマンが捕球できる高さの送球をする、ということなのだが。これはカットマンが捕球できれば、仮に本塁は間に合わなかったとしても、打者走者が二塁を狙った場合にこれを刺すチャンスが出てくること、正確な送球を心がけるということを狙ってのことだ。そもそも外野からダイレクトに本塁送球できるような強肩選手なんて、数えるほどしかいないわけだし、チーム事情に合った約束事と言えよう。

 ただし、やはり「刺す」という気持ちには変わりないわけで、仮に外野手からいい送球が来て、カットマンがそれを捕球し、本塁送球したら送球が逸れたり、きっちり投げ込めないようなことになると、外野手からすれば「だったらカットするなよな・・・」と文句のひとつも言いたくなるのもわかる。

 カットマンがどの位置に中継に入るか、はなかなか難しい。外野手の肩の強さや、打球の勢い、果てはフェンスの形状やグラウンドコンディションなどによっても微妙に変わってくる。いや、変えるようにしている。俺の場合。なぜならば、それこそ「刺す」という気持ちを受け止めるベストプレーの追求に他ならないからだ。面倒くさがってはいけない。安易に動いてはいけない。細かいところではあるが、そういうところまでプライドを持って取り組んでいる。

 カットマンは難しい立場なのだが、それでも今日もカットに入る。一点を防ぐ思いを繋ぐ一本の道を完成させるために。がんばれ、カットマン。めげるなカットマン。