第170球「トップバッターの目」(2004.6.17)

 今年はチーム事情からトップバッターを務めることが多くなった。適役がいない、というわけではないのだが、昨年の自分自身の消極的なバッティングを変えたい、という思いもあり、半ば主将権限を振りかざして強引に一番打者に据えてもらったフシさえある。もともと小細工好きな打者だっただけに、二番や三番を打つことが多かった俺にとって、一番打者を務めるのは実は新たなチャレンジだった。

 一番打者の何が良いかというと、まずきれいに整備されたバッターボックスにいの一番に入れるということがある。やはり気分がいいものだ。真っ白い白球を打つ、というのも非常に気持ちがいい。ただし、それに酔っていてはトップバッターの本分はまっとうできないのだ、と考えている。

 相手投手の特徴を掴むために、敢えてじっくり待球策を取ることが増えた。特に序盤は何球でも投げさせてたとえ凡退したとしても、球速・球のキレ・コントロールそういうものをベンチに伝える・・・そういうことを強烈に意識するようになった。少なくとも主力打者に、できればチーム全体に。

 「いける!」という直感は、意外と勝負する上で重要な要素になる。心理的に自ら有利な立場に持ち込むことは、相手の力云々言う前に自分と自分の気持ちとの戦いになる。1回の攻守で、「いける!」と思えるかどうか、そしてその「いける!」という思いをチームに伝えられるか、がトップバッターの本分なのだと思う。

 ということでとりわけ、その試合の初打席にはとりわけじっくりじっくり相手投手を吟味させていただこうと思う。結構そういう姿勢がチームにいい影響を与えていることが最近わかってきました。