第166球「聖地」(2004.5.7)

 GWも終わりに差し掛かった5月5日。曇天肌寒い一日ではあったのだが、俺はある場所にいそいそと向かっていた。野球バカよろしくある球場に向かっていたのであるが、今日は野球の観戦ではない。

 今日は若くして夭逝した、冬木弘道率いる(?)冬木軍プロモーション主催のプロレス大会観戦に行ったのだ。さぞかし会場はごった返しているに違いない。ヘタすりゃチケット買えなくて入れないかもしれないな・・・などと思いながら川崎球場に到着。目の前の駐車場が空いている・・・。あれ?混んでないなぁ・・・。当日券も楽勝で購入し、リングサイド一桁台のいい席までGETできた。全然人が入っていない・・・。

 出場選手はほぼ日本のオールスター勢ぞろいだった。長州力を初めとして橋本真也、小島聡、大谷晋二郎、邪道・外道、TAKAみちのく、カズ・ハヤシ、ジャイアント・シウバにマーク・コールマン(こいつらは出てきただけだが・・・)。そしてチョコボール向井(笑)・・・リングサイドには星野勘太郎までいたりして、相当豪華だ。プロレスファンから見ればまさに垂涎のラインナップだ。彼らが冬木弘道の弟子たちを完膚なきまでに叩きのめすことで試合は進んでいった。最後の最後の試合で一矢報いたのはご愛嬌だろう。

 華やかなドーム球場ではない。大きなキャパシティがあるわけではない。でも、川崎球場は彼らの佇まいに実によくマッチしていた。そして、彼らは相手が誰であろうとも、観客が何人いようとも、やることはただひたすらいつもどおりのプロレスと、痛快な感さえ漂う見事なまでのやられっぷりを披露していたのだ。

 俺は何に感動したって、彼らのその姿そのものだ。やっていることは確かにセコい攻撃も多い。一流どころと比べれば、やはり体つきも一枚落ちる。それでも戦うその姿には、観ているものに対して語りかけてくるものがある。それをどう受け止めるかは、観る側の問題なのだろう。俺的にはもちろんOKである。競技こそ違えども、TWINSの目指す気概を示してもらったような気がする。それだけで見に行った甲斐があった。

 彼らにとって川崎球場は間違いなく「聖地」だった。我々にとっての「聖地」が見つかるくらいの試合をしていきたいものである。