第165球「届けこの想い」(2004.4.30)

 届きそうで届かない。届かせるつもりなのだが、ほんの少し足りない。ほんの少し足りないがために、それが命取りになる・・・。こういう気持ちになることってちょくちょくあったりする。そして、それは自分自身本当に何とかしたい、と思うような大切なものであったりもする。

 キャッチボールをしていて、びしっと相手の胸に投げ込んだのに、どうも最後の最後で少し失速するような感じがしたことは、自分自身なんとなく気づいていた。びしっと投げたのだから、やはりびしっと相手のグローブに納まってほしいよな、なんて思いながら。そのわずかな肩の衰え(なのだろうか?)が、致命的な失点に繋がることになった。これは、俺がその衰えをきちんと認識していなかったことが大きな原因のように思う。

 どんなことでもそうだが、今のベストを尽くすためには、今の現実をしっかり見つめることから始めることが大切だ。あの頃の俺は強肩だった・・・その思いだけでは、しっかりした送球をすることはできない。ただ、時としてその現実を見つめることは結構心苦しいことも多い。できればそういうことから目を背けたい、そんな風に思うことだって多い。

 去年はまったく打てない時期があった。打球もまったく飛ばない、当てるだけの消極的な打撃を繰り返し、結果非常に低い打率に終わってしまった。でも、それを半年かけて修正することで、今年はまずまずの打撃ができている。その感覚で送球の修正に取り組んでいくつもりだ。それをせずに、TWINSのショートは務まらない。TWINSのレギュラーは務まらない。

 試合時以外に色々と話を聞いていると、結果という形となって出る出ないは別にして、みんな色々な努力をしていることを痛感する。俺だけ、全盛期の昔のイメージにすがるわけにはいかないのだ。そんなことをここ数試合の負け試合から皮肉にも学ぶこととなったのである。しばらくはしっかりとワンバウンドで一塁手が取りやすいところに投げるようにしていきたい。

 想いをこめてしっかりとした送球を。届け、この想い。