第107球「醸し出す理由」(2003.2.6)

 会社から帰宅して、食事をしつつ、毎日のようにチェックしているテレビ番組がある。それは、プロ野球球団のキャンプ中継だ。毎晩毎晩深夜帰宅となっているから、他に見たいテレビが無いというのも一つの理由しれないが、色々と勉強になるなぁとつい見入ってしまうものだ。

 スポーツニュースでのキャンプ便りのようにダイジェスト版で人気選手だけを追いかけるのではなく、メイングラウンド・サブグラウンドそしてブルペンとそれぞれテレビカメラが入り、そこで実際に行われている練習風景を放映するというもので、番組的には非常にチープなつくりになっている。なんせ編集などはほとんどなく、ただ淡々とグラウンドを映すだけなのだから。

 ところが、野球人の眼からその風景を見てみると、色々と自分の参考になることを見出すことが出来る。打つにせよ、守るにせよレギュラーを張っている選手は総じて「丁寧」だ。打撃練習では内角は引っ張り、外角は逆らわずに流し、守備練習ではゴロやフライを捕球する際のグラブの位置がほとんど同じ所になっている。逆に控えの選手はそういう視点で見てみると、この点で一歩劣るように見受けられる。レギュラー選手の自覚の賜物だ、と言ってしまえばそれまでだが、やはり決定的な差に感じられる。

 その差異は球団間にも感じられる。今は巨人と阪神のキャンプ中継を放送しているのだが、贔屓目かもしれないが、やはり巨人のレギュラー陣の練習のほうが、阪神のレギュラー陣のそれよりも「丁寧」に映る。だから、今季も巨人は阪神に絶対に負けないように思う。いや、それでも負けたりするから野球は面白いのか・・もしれない。チームカラーに合わせた練習の違いというのを、巨人阪神という人気球団のキャンプを見て感じることとなったのだ。

 勝つか負けるかそれはやってみないとわからない。しかし、チームカラーを醸し出すにはそれなりの理由がある。そしてその理由の中で最も大きいのは、シーズン前の練習(=キャンプ)である。それを番組から強烈に感じた。開幕まであと一月。練習にもいっそう力を注ごうと思う。