第106球「BEYOND-MAX体験記」(2003.1.27)

 昨年から話題になっている新型バット「BEYOND-MAX」を試す機会があったので、報告までに書いてみたいと思う。「当社比飛距離が6mアップ」などという謳い文句を見ると「ホンマかいな」と思う一方、もし本当であればこれは大変なことだ。草野球の概念を根底から変えてしまうかもしれない。「守り」の野球がより困難なものになるかもしれない。外野手の存在が俄然クローズアップされるかもしれない。

 まず、バットの形状からいうと、バットの芯の部分が堅いスポンジのような感じで、柔らかな作りになっている。芯の部分だけが一回り太くなっていて、あとは普通のバットとなんら変わりはない。どちらかというとグリップが細く、振りぬきやすい印象である。総じて軽量だ。使い勝手はなかなかよさそうな感じだ。

 実際にボールを打ってみると、芯で捕えると「ボコッ」とソフトボールをジャストミートしたような音がする。ここは金属バットと大きく違う。そして、打った時の感触は長くバットにボールが乗っているような感じだ。わかりにくいがそういう表現になる。「弾き飛ばす」というよりもむしろバットに「乗せて運ぶ」というイメージだ。

 だから、思ったよりも速球に詰まっても持っていくことが出来るよう印象をもった。逆に金属バットの感覚で「ジャストミート」したように思っても、多少引っ掛け気味の打球が飛んでいく。これは金属バットよりも打つポイントが手前であることを如実にあらわしているものであろう。これはBEYOND-MAXの持つ「飛距離アップ」に対応するデメリットであるかもしれない。投手の投球術や捕手のリードにも多少影響が出るかもしれない。

 というわけで、金属バットをはるかに超越したバットである、というわけではなさそうだ。やはり弱点というかデメリットもありそうだ。後はこれをどのように生かし、どのように弱点を突くか、がポイントになってくるだろう。打者としてみれば、打つポイントが違う、ということで、金属バットとの併用は正直オススメしない。ただ、剛速球投手に対しても詰まっても打球が飛んでいきそうなので、そういう対策にはいいかもしれない。

 しばらくはどちらを使うか色々試してみたいと思っている。