第105球「正しく痛い」(2003.1.20)

 じわじわと張ってきている。じわじわと痛みが増してくる。しかし、それを俺は待ち望んでいた。そして、「正しく痛く」なっていることを確認して、ある意味喜んでさえいる。毎年、この時期の恒例行事のようなものだ。

 「こいつアホか」と思われるかもしれないが、これは初練習を終えた翌日のことなのだ。野球で酷使する筋肉が正しく使われていることの確認作業なのだ。たった一月と少し野球から離れていただけなのに、ストレッチしてみてはいつもより硬くなっている体に驚き、アップを終らせる頃にはすでに、ちょっとした疲労感が。トスバッティングってこんなに難しかったっけ、などと色々とショックを受ける。

 さらに、右肩の後ろから背筋の部分、左足腿の前の部分、そしてお尻と内股の部分が、翌日になると張って来る。もちろんじんわりした痛みを伴って。痛いことは痛いのだが、これらの筋肉が痛いのは、「野球」で正しい動きをしているから、と解釈している。腰を落として打球を掴み、しっかりしたフォームで投球をしている証でもあるのだ。俺が喜んでいるのは、そのことを指しているのだ。

 だから、野球で使う筋肉はやはり野球で鍛えるしかないのだろうな、という実感もある。今はトレーニング技術が発達して、色々な方法で鍛えることは出来るのだろうが、俺にはその知識は残念ながらまだない。やはりグラウンドで培われていくものなのだ、と思う。そして俺にはその調整方法の方がなんとなく合っている。しっくりくる。

 最初はショックの連続の練習ではあるが、二度三度と練習に参加してくると、少しずつ体のキレが蘇ってくる。前回より少しきついメニューをこなしても、同程度の筋肉痛で済むようになる。春の訪れと共に、汗も充分にかくことが出来るようになり、動ける体に近づけていくことができる。この作業がしんどいけれども、実は結構楽しい。今年も一年無事に乗り切れるように、いい活躍をできるように、この作業を繰り返すのだ。

 例年TWINSの開幕は3月である。春合宿でみっちり体をいじめ、チャレンジマッチを数試合こなし、開幕に突入する。開幕まであと一月半程度。動ける体目指して、頑張りましょう。