第99球「想いをぶつけろ」(2002.12.3)

 以前にも書いたが、俺がいつも使っているバッティングセンターは非常に規模の小さいバッティングセンターだ。アーム式の古臭いマシンで、たまにボールが供給されずに空振り(空投げ?)し、打者を悩ませることもしばしば。電灯も少なくちょっと薄暗い雰囲気。普段は行こうとはなかなか思わない。

 どんな野球人もそうだと思うが、我々がバッティングセンターに足を運ぶときは決まって自分の調子の悪い時、前の試合で思うような結果が出せなかった時・・・そんな時ではないだろうか。燻った思いというか、悔しさを打ち込むことで少しでもいい方向に持っていきたい、そんな時ではないだろうか。そういう時に実は先に書いたバッティングセンターの雰囲気というのが実にマッチするから不思議だ。我々にとってバッティングセンターは「想い」をぶつける場なのだ。

 バッティングセンターでの打ち込みのみならず、打撃練習は様々あるのだが、目的はたった一つ。試合で安打を打つことだ。そしてその安打がチームの得点につながり、勝利を呼び込むようにすることだ。そこには確かに技術や体のキレなどの部分が大半を占めるのだろうが、やはり俺はそういう「想い」を大切にしたいなぁと思っている。クリーンヒットや長打でなくてもいい。ぼてぼてのゴロでもいい。テキサスヒットでもいい。ここ一番どうしても打ちたいときに一本出したい。言うなれば「気合の一打」ってヤツだ。

 精神論を振りかざすわけではないけれども、やっぱりそういう部分はあってしかるべきだと思う。そうでないと、打撃自体がつまらないもののように思えてしまう。テレビゲームのように、能力の絶対値の高い打者がその通り率を残すような野球を俺はやりたいのではない。「想い」のない野球はつまらないのだ。

 だからこそ、バッティングセンターでぶつけている野球人の想いがもしあるのなら、ぜひグラウンドでその想いを具現化してもらいたいなぁと思う。これは敵味方関係なくそう思う。そういう「想い」を敏感に感じ取る能力には長けていると俺は変な自信を持っている。「想い」をぶつける一打、お待ちしています。