第94球「トータル」(2002.11.8)

 中学のころから洋楽、それもロック一本槍だった俺にとって、様々なロックアーティストのアルバムはある意味宝物だ。昔買ったアルバムを改めて聞くことで、その時代を思い出すというか、そんな感覚に襲われる。逆に今だからこそ新鮮な音の塊になって聴こえることさえある。

 最近何が少なくなったかというと、いわゆる「名盤」と呼べるアルバムだ。一曲目からラストまで楽しめるアルバムだ。いい曲を収録しているにも関わらずアルバムを最後まで聴いてみるとそのいい曲しか印象に残らない。そんなアルバムが最近多いように思える。「この曲いい曲だね」と薦められることはあっても「このアルバムいいアルバムだね」と薦められることが本当に少なくなった。

 いいアルバムには様々なエッセンスの曲が入っている。力強い曲があったり、美しい旋律を奏でる曲があったり・・・。それが複雑に絡んで一つのアルバムを形成している。したがって、そのアルバムには一曲の捨て曲も存在しない。そして、収録された曲順以外の曲順は存在しない。一曲一曲が小さな主張をしている。これが俺の言うところの「名盤」の条件だ。

 これはまさに野球で言うところの「打順」そのものにも当てはまる。皆がみな長打を打てるわけがない。また打つ必要もない。しかし、その打順打順で打者一人一人が役割を果たしていく。これが打順を機能させる絶対条件だ。四番打者が主砲という位置づけにはなるものの、下位打線にも下位打線なりの役割(主張=心意気)があってしかるべきだ。でなければ、「打線」にはなりえない。

 我々は一曲だけで勝負してはいけない。あくまでもトータルで勝負しなければならない。個々の力をうまく繋ぎ合わせることで、個人の力や存在感をよりアップさせることが出来るのだから。我々は「名盤」になれるのだろうか・・・。

 超個人的名盤です。モロ趣味に走っています。
(1) DEF LEPPARD「HYSTERIA」
(2) QUEEN 「A NIGHT AT THE OPERA」
(3) BOSTON 「THIRD STAGE」
(4) U2「WAR」
(5) IRON MAIDEN「THE NUMBER OF THE BEAST」