第86球「三割打者になるには」(2002.9.6)

 最近色々な草野球HPを知る機会に恵まれ、時間を見つけてはちょくちょく拝見させていただいているのだが、気になる連載があった。それは審判の目から見た草野球論だ。リレー形式で普段草野球の審判をされている方が、思い思いのテーマについて別角度から野球というものを書いている。現役プレイヤーであることにこだわりを持っている俺には、その一つ一つが凄く新鮮に感じられる。

 ここで一つの問題。「三割打者の条件とはいったいなんでしょう?」。プレイヤーサイドから見れば「ミートがうまい」「一試合で固め打ちが出来る」そういう答えが出てくるように思える。ところが、審判の目からすると、必ずしもそうではないらしい。審判サイドからの答えは「打席で集中している」「投手との間合いが取れている」「総じて早打ち」・・・と全く違う。

 プレイヤーサイドで考える三割打者の条件を満たすためには実は、審判サイドで考える三割打者の条件を満たすことが必要だ。ベンチから打席を見ていると「なんとなく打てそうな気がするなぁ」と感じることがよくある。そういう雰囲気はつまり審判サイドから見た条件をクリアしているからこそ醸し出せるものなのではなかろうか。これができて初めて「ミート」したり「固め打ち」が出来たりするのだ。雰囲気とはかけ離れるが、追い込まれる前に積極的に打てる球を叩く姿勢だって、好結果をもたらす重要な要素だ。ストライクを取りに来る球が一番打ちやすい。そして追い込まれてからの勝負球は一番打ちにくい。当たり前のことだ。

 我々はついついプレイヤーサイドから打撃というものを捉えてしまいがちだ。ところが、ちょっと違う角度から打撃というものを考えてみたとき、意外と良いアドバイスというか、ヒントが隠されていることに気づかされる。審判の目、まったくもって侮りがたし・・・。

 審判をされている方々は野球好きが高じてやっている方が殆どなのだろうと思う。そして野球を見る目もまた肥えているものだ。我々は審判の目から学ぶことはたくさんある。きっと新しい発見があるに違いない。