第62球「ストーリー」(2002.2.21)

 長いこと一つのことに取り組んでくると、自分なりに「ストーリー」というものができてくる。特に毎年参加しているトーナメント戦が開幕すると、「去年はこうだった」「その前はこうだった」「そのまた前は・・・」となる。毎年参加すればするほど、過去の記憶は鮮明に蘇ってくるものだ。

 以前「トーナメント戦は負け方が大事だ」という趣旨のコラムを書いたのだが、毎年参加したくなるような大会というのは、主催者側がしっかりした運営体制を取っていること、挑戦したくなるようなレベルのチームが集結していること、なども大きな動機付けになるが、もっとも大きいのは、「過去に我々がどんな戦いをして、そしてどう負けてきたか」という積み重ねなのだ、と思う。

 それぞれの過去の負け試合を思い出してほしい。すると、自分がどの大会に一番力が入っているのか、がよくわかると思う。それは、自分が勝敗の鍵を握った試合に他ならない。そして、チームで一番悔しい思いをした試合に他ならない。とかく活躍して勝った試合よりも、自分がミスして結果的に負けた試合の方が強烈に印象に残ってしまうものだ。

 草魂CUP、GBN杯、グロリアスカップ、ベースマンカップ、STRONG―CUP。以上5つもの大会に今年はエントリーしているのだが、諸兄はどの大会に思い入れがあるだろうか。野球は9人でないと試合ができない、という大原則があるのは百も承知だが、自分の思い入れのある大会には、万難排してぜひ参戦してほしい、と思う。スケジュールだってなかなか個人的な都合で変えることはできないかもしれないけど、それでもできる限りの調整をしてほしい、と思う。

 野球人である以上、そういう「思い」は完結させなければならない。「ストーリー」を完結させなければならない。そういう意味では、今年の草魂CUPの一回戦はポイントになる試合だと思う。本当に悔しい思いをした選手がTWINSには沢山いた、と思う。一つの負け試合が選手を、チームを少しずつ成長させていることを証明したいと思っている。勝ち負けは別にして、思い入れの深い試合にしていきたいと思う。モンブランさん、今年はご迷惑かけませんので、よろしくお願いします。