第51球「いいチームの条件」(2001.11.26)

 草野球界には、様々なメンバー構成からなるチームがある。硬式野球でバリバリやっていました、という選手をずらりと揃えたチームもあれば、そういう経験はないけれども、とにかく野球が好きな連中が集まってできたチームや勝ち負けよりも体を動かすことを主眼に置くチームなんてのもあって様々だ。野球をすることには変わりはないわけで、その楽しみ方は多種多様であるべきだと思う。

 そんな多種多様なチームの中で、「いいチーム」とはどういうチームを指すのであろうか。トーナメントの上位進出の常連チームがそれに当てはまるのか、というとそういうわけでもない。どうせ野球をやるのならいいチームでプレーしたい、というのは野球人共通の思いであろう。が、「いいチーム」を明確に定義しようとすると答えに窮してしまう。

 俺は「いいチーム」の条件は「ピッチャーが一生懸命投げるチーム」なのではないか、と思っている。一歩進めれば「ピッチャーに一生懸命投げさせるチーム」の方がぴったりくる。こういうチームはいわゆる「いいチーム」なのだと思う。「卓越した大エースがいるチーム」とはちょっと違う。

 ストライクが入るとか、快速球の持ち主だとか、そういうのはあまり問題ではなくて、いかにバックのために一球一球投げさせるか、自分のその日のベストピッチをさせるか、ということにチーム全体で取り組まねばならない。野球中心の生活をしているわけではない我々にとって、ベストな体調で臨める試合というのは実は数少ない。そんな中で、一生懸命打者に立ち向かわせるのは、ピッチャー以外の選手の仕事である。これができるチームはいい試合を造ることができる。したがって、「いいチーム」なのだ。

 これができないと、ピッチャーに「言訳」というアイテムを与えてしまう。チームはピッチャーに言訳をさせてはいけない。そういうスキを与えてはいけないのだ。肩が痛かろうが、肘が痛かろうが、マウンドに上がったら自分の本分を全うしろ、と言葉だけではなく、プレーで示せるチームでありたいと思う。もちろんピッチャーをできる選手を複数擁しているというのも重要なこと。継投するにせよ、マウンドに立った瞬間から、セットアッパー・クローザーも本分を全うさせなければならないのは言うまでもない。

 TWINSの格言に「言訳は飲み屋でしろ」というのがある。後でいくらでも言訳聴くから、今は試合に集中しろ、と。野球人にとって、けだし名言である、と思う。そういう試合中の緊張関係がいい結果につながっているのだと思う。