第47球「マナー」(2001.10.29)

 「マナーのいいチームとやりたい」「マナーのいいチームになりたい」。あちこちの草野球掲示板で見かけるカキコミである。ひとえにマナーといっても色々あって、試合交渉の場でのマナーもあれば、試合前・試合中・試合後のマナーもある。対戦チームとして接している時間以外にも、マナーを求められる場というのは結構多いと思う。

 ところで、マナーのいいチームとは何だろうか?。簡単そうで実は難しい問いである。かくいう俺にも明確な答えは導き出せない。しかしここれだけは言える。試合内容からその経過やその結果など細かいところまで思い出せるような試合、つまり印象に残る試合というのは、いわゆるマナーのいいチームとの対戦である、と言うことを。そしてそれは明確な形になって現われるものではなく、一つの記憶として刻まれていくものなのである。

 同じような実力のチームと接戦をすることがいい試合だ、というわけではない。大差で勝ったり負けたりしたとしても、妙に印象に残る試合もある。俺が思うにそれは「敵味方関係なく試合を造った」試合なのだ、と思う。その演出の最たる例が「マナー」なのだと思うのだ。事前に準備を重ねて、当日全力で試合をして、最後に後片付けまでして一つの試合が完結する。それをできないチームとの試合はどんな試合であれ、記憶に残らない。つまらない試合なのだ。不幸にもマナーが悪いなぁと思わずにはいられないチームと対戦するハメになったら、その時は試合だけに集中してとっとと勝ってしまいましょう。そして、自分のチームが成すべき事をしっかりやって、グラウンドを後にしましょう。そんな相手なんて金輪際忘れてしまいましょう。いちいちマナーの悪さにかっとして不完全燃焼なんてしたくないでしょ。

 我々TWINSも試合後に互いに連絡をしたりして、交遊を広げている草野球チームがいくつかある。そして試合をするだけでなくマナーを守りながらお互いを励まし合っている。お互いを認めてこそ、そういう繋がりを持つことが出来るわけだ。我々もマナーのいいチームとして認めていただいたことの証なのだろう。勝ち負け以前にチームとして誇るべきことだと思う。逆にそういう繋がりが持てないチームは、遅かれ早かれ淘汰されてしまうのだろう。チーム力が低下して脱落するならいざ知らず、そういう消え方だけはしたくないものである。

 あまり知られていないが、TWINSの渉外担当はトーナメントが終了すると、我々が対戦させていただいたチームに、必ず「負けました」との報告をしている。これもトーナメントを戦った相手に対するマナーの一環なのだろう、と思う。だからマナーのいいチームと試合をしたくば、まず自分のチームがマナーのいいチームを目指すべきなのだ。それがいいチーム同士のネットワークの第一歩であり、野球人のいい休日の過ごし方なのだ。